2017年も終わりに近づいたので、今年やったゲームと良かったゲームの話を。
2017年以前に発売されたゲームを今年遊んだケースもありますが、今年発売されて今年プレイしたゲームのみ対象にしています。
今年プレイした今年発売されたゲーム
- Gravity Daze 2 (PlayStation 4)
- Giga Wrecher (PC)
- Horizon Zero Dawn (PlayStation 4)
- ゼルダの伝説 Breath of the Wild (Nintendo Switch)
- NieR: Automata (PC)
- Horizon Zero Dawn (PlayStation 4)
- ARMS (Nintendo Switch)
- Tom Clancy’s Ghost Recon: Wildlands (PlayStation 4)
- What Remains of Edith Finch (PC)
- Danger Zone (PC)
- Nex Machina (PC)
- Splatoon 2 (Nintendo Switch)
- ドラゴンクエスト11 過ぎ去りし時を求めて (PlayStation 4)
- Destiny 2 (PlayStation 4)
- スーパーマリオオデッセイ (Nintendo Switch)
- Middle Earth: Shadow of War (PC)
- Need for Speed: Payback (PC)
- DeathComing (PC)
- Hearthstone: Jorney to Un’Goro (PC, Mobile)
素晴らしかったゲームたち
ゼルダの伝説 Breath of the Wild
ビデオゲームにとんでもない革命を齎した超傑作。普段”名作”って言葉は使わないようにしてるんですが、間違いのない、紛れもしない名作。
正直、パラセール手に入れるまでの序盤をプレイしてる間は「こんな風に押しつけがましいゲームが続くのか…?」と思っていたけれど、雪山で松明を使った温度管理を”自らの手で”発見した瞬間に「このゲーム全体に作用する法則がオープンワールド全体においてゲームプレイ体験としてデザインされるのであれば、とんでもないゲームなのではないか…?」と思わされ、始まりの大地をパラセールで飛び降りた5分後、それが全く間違いでないことを知って、本作が間違いなくゲーム史に残る名作なのだと確信を得た瞬間に「ビデオゲームを好きで、追いかけてきて本当に良かった」と、脳汁が出た。
全編に亘って緊張感のあるテンポのコントロール、(クリアを躊躇った勢は全員ゲームバランスの破壊に至るが)プレイヤーが自ら破壊せしめようとしない限り、手ごたえを持って応えてくれるバランス調整、そして何よりも周囲を360度見渡せば、常に興味を引くものどこかにある、オープンワールドゲーム史上類を見ないレベルデザイン。
装備のマネジメントに頭を悩ませ、唐突に脅してくる雷に金属装備を外す、遠方に見える敵をどう攻略するか物陰から伺う、崖を飛び降りて窮地を脱する、なんてことはない現象が適度なテンポで訪れて、そのすべてが楽しいなんて異常としか言いようがない。
インベントリの管理や、ゲーム進行の過剰な遅さ、または過剰な速さなんて弱点こそあれど、唯一無二のゲーム体験を押しつけがましくなく、プレイヤーの意思で掘り進めて行こうと思わされるゲームというのは、紛れもなくビデオゲームのあるべき姿。本作が最高の作品であるということは最近ビデオゲームの怠慢であると同時に、本作が生まれた結果ビデオゲームは間違いなく一歩上のステップに達したと言い張れる作品。
空恐ろしいのは今年最高といっていいナラティブ表現。エンディングは本当に震えた。エンディングのゼルダ姫のセリフも、ラストに映る姫しずかも、本作を相応に探索したプレイヤーにしか通じない表現。本作をどうプレイしてほしかったのかを伝えるとともに、ここまでプレイヤーを信じられるという自信の表れでもあるし、何よりも本作が為そうとした「プレイヤーが自らの意思で冒険、探索する」ことをこれ以上なく表現し、またこれまでのプレイに完全に報いてくれるシークエンスだった。
本作が最も空気読めてないのは、今年の賞レースとビデオゲームのイノベーション、ひいては2017年のビデオゲームを3月頭で終わらせたことですね。2017年を楽しみにする、というビデオゲーム趣味を早々に否定したことは、たとえSwitchのローンチがあったとしても本当に最悪の行為です。
NieR: Automata
同日(2017/3/3)発売がまさかの名作Breath of the Wildだったせいで500%くらい割を食った傑作。
皆2か月くらいゼルダやってたせいで当初は「廃墟ゲー」「尻が見える」みたいな文脈でしか語られず、それでプレイするわけねえだろという気分でした。実際にプレイしてみると想像以上どころか、今年を代表できる作品の一つだと言い切れる出来。
正直低予算作品(ただし国内作品の中ではビッグバジェットではある)的なポジションで、ゲームデザインやレベルデザインも使いまわしを前提にした周回プレイを前提に作られていたり、ストーリーも冷静に俯瞰すれば陳腐というか出来の悪い和アニメかよという感じだし、Windows版は発売から9か月経った2017年末の現在でもフルスクリーン化すら出来ない(予算の都合でパッチが出せない、有り難い有志MODを入れないとプレイすらままならない)有様ではあります。
ただ、本作にはそんな冷静な見方を正面から打ち破る表現の力があります。ジャスト回避のスローモーションの瞬間、砂漠に立った瞬間のBGM、ビジュアルノベルやSTGから借用したストーリー表現。前述の悪い事柄というのはたかがスレた見方で、表現で大事なものは表現そのものなのだという力強さ。
正直ベヨネッタやMetal Gear Rising Revengencetといったプラチナゲームズ作品の文脈はバリバリ強く感じはしますが、作り慣れた余裕が生んだ洗練というものも新規性や革新性と同じく貴ばれるべきなのだと体に理解させに来る作品です。
Gravity Daze 2
前作はコリジョンの引っ掛かりやレベルデザインの分かりにくさ、ストレスフルな収集要素(全部集めたと思ったらゲーム後半で収集物が追加される無体よ)、長いシーンロード、ダサいカットシーン、消化不良どころじゃない未完ストーリー、バランスの悪い能力ごとの強さ等々、色んな部分がアレでしたが「空を飛ぶ」体験においては最高に新しく、最高に気持ち良い作品だった。
さて、2になって前作の弱点は改善されたのか?というと、修正を試みながらも以前不満が残る出来。
能力周りは前作で無価値だった重力スローが異常に強くされたけれど今度は重力スローが強すぎ。カットシーンは前作と比べて格好良いカメラと演出が施されたが、相変わらずゲームプレイから分離していて冷めた気分に。シーンロードの長さはVita版と比べて若干良くなった気はすれど、相変わらずストレスフル。コリジョンは改善されたけれど相変わらず引っかかる。ストーリーは完結編を銘打っているので前作の消化不良感は減ったけれど、最終章がGravity Dazeのプレイ感じゃない…。
が、レベルデザインの改善は最高の一語。Gravity Dazeの「飛ぶ」「落ちる」「空に落ちる」が改善されたボス戦やイベントの演出と相まって前作以上に画になる、凄いことをしていると思わせてくれる改作の仕上がり。
本作の追加要素たるフォトモードが重要な役割を果たしているのは、単にシェアしてくれとかおれのようなフォトモード好きが喜ぶだけではなく、キャラクター同士の存在感や生活感、有形無形のやり取りや、もっと言えば最大の登場人物である町をもっと身近に感じさせようとする仕組みだろうし、最大限に機能してます。
もうGravity Dazeが出ないことは悲しいけれど、次も他にないゲームプレイを齎してくれる作品を楽しみに待ってます。
Hearthstone: Knights of the Frozen Throne
Hearthstone史上最もゲームプレイを刷新してくれた拡張。
兎に角デカいminionや強烈な効果のspellがバンバン出てきた上に、新要素のhero強化!なのにhero間のバランスは保った脅威の調整。それでいて旧拡張カードやclassicの存在感も失っていないので、現役プレイヤーは新環境に熱狂できるし、出戻り勢も振り落とされずに「こんなに変わったのか!」と驚愕できる。古いゲームデザインと新しいゲームデザイン、バランス調整が綺麗に機能した易々と真似できないどころか、たぶんBlizzard以外どこも作れない、ホットなデジタルTCG。
ですが、同時に今回の拡張がHearthstoneの終わりの始まるという感じも。いい加減カネを払わない客にBlizzardも愛想が尽きたのか、拡張パック > アドベンチャー > 拡張パックのリリースペースを、全て拡張パックに集約した上、legendaryカードを大量に増やした結果、古参ヘビープレイヤーもカードリソースが不足する事態に相成っています。
まあカードパックを現金で買えばいいだろうという話ではなく、現金投資でカードパックを購入しようが、以前としてカードが足りない状態が解消できないのはマジでヤバい感じです。これが続くとプレイヤーが離れてもおかしくないというか、次のKobolds and Catacombsでおれは心が折れました…。
What Remains of Edith Finch
もうblogに起こしてたのでそっちを参照してください。 : 間接的に行われる積極的な自殺 – What Remains of Edith Finch
補足として、何かを物語る手段としてビデオゲームなるメディアを使うという意味では、さよならを教えてに近い感想ではあります。さよならを教えては所謂ビジュアルノベル、アドベンチャーゲームとしてのエロゲーフォーマットで、スクリプトエンジンの枠内で行える表現を極めた作品でした。
残念だったゲーム
Middle Earth: Shadow of War
前作Shadow of Mordorは本当に楽しめたんですよ。景気よく首がバンバン飛ぶBatman Arkham Trilogyフォロワーとして。作品固有のアビリティや演出も良かった。Nemesis Systemもゲームを単調にしないのに役に立っていたけれど、まあ世間で評価されるほど素晴らしい仕組みか?というのはありました。そもそも殺しまくってるOrcの名前なんていちいち覚えてねえし。
で、続編のShadow of Warですが、前作から色々良くなってるんですよ。以下に挙げると
- 単調になりがちだった小隊長の殺し方は、固有の弱点をリサーチして環境やアビリティを積極的に利用させるようになった。
- 圧倒的な物量の投入。Orcの個性や砦の様変わりでプレイヤーごとに本当に個別の体験をさせるのは見事。
- 装備の強化システム。線形的に強くなっていく前作と比べ、Orcの弱点や自身の戦略に合わせて敢えて低レベルな武器を使ったりと割と考えさせてくる。
- Nemesis Systemの強化。プレイヤーとOrcや、OrcとOrc間の関係性が強化されている。
- Orcのアクションが増えて個性豊かな殺し方をされる。
と、良くなった部分はちゃんと良くなりました。が、Nemesis Systemが前作で評価されすぎたのか、それとも続編としてNemesis Systemをもっと前面に出していくべきだと判断したのか、もしかしたら映画The Lord of the Ringsに繋げるために物語面はあまり盛れないなと判断したのか。兎にも角にもNemesis System一本鎗でゲームを進めようとするには無理があった。
その代償が余りにも単調な60時間超、全4章の体験でした。そもそもアビリティのアンロックが異常に遅く、そろそろ色々出来るようになってゲームのエンジンが温まってきたか、と感じるまで20時間掛かりますざっと第1章 – 第2章中盤くらいです。その後、前作譲りのテンション高いゲームプレイや物語の盛り上がりを遺憾なく楽しませてくれるのが第2章中盤 – 第3章のラストまでの20時間。そして最悪なのが第4章。
第4章「Shadow War」ですが、ストーリーは一切物語られることなく、延々と砦の取り合いが20時間超続きます。「何かが起こる」という体験を全てNemesis Systemに押し付けた強烈な意欲作ではあるんですが、やることといえばそれまでのキャンペーンの取り逃しの回収と、砦の防衛だけ。たまに突発的なNemesis Systemらしい事柄が起こるだけの体験を20時間繰り返すだけになります。「関係性に基づく動的なストーリーの発生」といえば聞こえは良いです。が、おれみたいに想像力の欠けた人間からすれば、特定のゲーム内状況に基づいたスクリプトベースのイベント発生でしかないので…。
前作が良かっただけに、本当に残念な作品でした。
Splatoon 2
前作の膠着気味というか、有利な膠着状態を作るのが勝ち筋だった基本的なゲームプレイを刷新しようとしたのは、続編としてやるべきことだったのは分かります。
マップの閲覧を制限したり、サイドや裏を取りやすくなったりしたのは、前作からの改善点としてやらなければならなかったことなんでしょう。
ただ、その結果として勝つために求められるものが、余りにもガチな方向に寄りすぎたんじゃねえのとは思います。ソロでフラッとプレイして気持ちよく終えられる程度のヌルさがなくなりました。マッチ結果が荒い、荒れるという意味ではCoDのKill Streakが批判されて弱体化を辿った歴史を思い出します。
ぶっちぎりで酷かったゲーム
ドラゴンクエスト11 過ぎ去りし時を求めて
最低の90時間だった。PS4版です。
- 異常な量と回数のカットシーン
- リニアで同じことを延々繰り返すゲームプレイ
- 街 -> カットシーン -> 移動 -> カットシーン -> ダンジョン -> カットシーン -> ボス戦 -> カットシーン -> 街
- 恐ろしいことに全編がこのループだけで進む
- ボイスなし
- 20時間近いカットシーン全編、3行しかないダイアログで延々メッセージを読まされる
- 無数の透明壁
- 最初の街で「屋根の上にも登れるよ」と教えてくるの、最悪という言葉でも足りない
- 実際はほぼすべてのオブジェクトの一定より上の部分、登れそうだったりショートカット出来そうだったりする高低差全てに透明壁がセットされている
- おそらくは3DS版と行ける範囲を同じくしようとしてるんだろうけど、そんな都合PS4版のプレイヤーが知るわけねえだろ
- 3DS版とエンカウント周りとか別物にしてるのに、なんでそこをプアな方に合わせるんだよ
- 2017年のUnreal Engine 4タイトルとは思えないグラフィックスクオリティ
- 「今世代機ではこのような表現がリアルタイムで行えます」と謳われたフィーチャーが沢山!
- Screen Space Reflection
- Ambient Occulusion
- Global Illumination
- 総じて使い方が下品
- というか環境デザインが酷い
- フィーチャーを紹介するために大抵ギラギラツヤツヤピカピカな感じになる、エンジンのDemoのがよっぽど上品
- 雑な戦闘周り調整
総じて「一本道で」「やることは大したことのない使い」「ゲームプレイを阻害するカットシーンを延々と見せられる」PS1 – PS2時代のJRPGが批判された要素の集合体です。
「好みは人それぞれだから、他人がそれを容れることを否定するな」とは世によくある言葉ですが、ドラクエの冠かぶせるだけでこれが大絶賛されて、ましてやこれのフォロワーが出てきたりしたら、また日本のビデオゲームが後退するじゃねえかという気持ちです。別にドラクエだけが旧態依然としたJRPGってわけじゃあないけれど、もう「龍退治はもう飽きた」から25年以上経っているというのに。
一応悪いところばかり論って、良いところの話をしないのもどうかと思うので最後に挙げておきます。
マジスロは絶対に遊技機の人がデザインしただろう、絶妙な塩梅の演出、テンポ、そして出玉感。ボーナスの払い出しが少なくて、そっから自力システムで伸ばせみたいなのは5.5号機的だけど、放出の仕組みは4号機ライクという、スロット好きなら面白さを感じさせる良い仕事でした。でもゲーム本編と殆ど関係ないんだよな…。
そして何よりも敵のモデリングとアニメーションは本当に凄い。鳥山デザインの納得感ある立体化のみならず「アングルによって2D時代のドラクエ的に見せる(戦闘モードをフリー移動から切り替えると分かる)」という離れ業まで見せたのは、唯一無二の仕事です。何故こんな作品で、ここまでの仕事が為されてしまったのか。
今年一番良かったゲーム
どれが良かったか挙げるなら、多分に漏れずゼルダ1択です。
2017年のビデオゲームというのは本当に不幸な年で、ゼルダが出た3月時点で「2017年のビデオゲームの進歩はこれ以上ねえな」と思わせたことで、残りの9か月が消化試合の気分に。事実ゼルダ以上のタイトルは出てこなかったし、下手したら来年も出てこないでしょう。
「いや別に2017年とか区切って、勝手に3月から暗澹とする必要ねえだろ」と思われるかもしれませんし、尤もです。が、割と信仰みたいな感じでビデオゲームの進歩に心惹かれているので、何というか年の後半は「まあとりあえずプレイしとくか」ってな気分になるのは、ちょっとテンション下がってました。
ゼルダは最高だけど、あの中毒性も含めて最悪の代物だと思います。期待と夢を膨らませていた2017年を返してくれ。